お腹・胃が張る…
腹部膨満感とは、お腹が張って苦しい状態や、胃が重苦しく感じる状態を指します。主な原因として、早食い、食べ過ぎ、発泡飲料の摂取、便秘などによる消化管内のガスの増加があります。また、腹水(お腹に液体が溜まる状態)が原因の場合もあります。
以下のような場合は、医療機関への受診をおすすめします。
- 激しい腹痛や息苦しさを伴う
- 食べ過ぎていないのに急に強い張りを感じる
- 腹痛や浮腫(むくみ)、尿量の減少を伴う
- 便秘が続く
- げっぷやおならが増える
- 少量の食事でもお腹が張る
- 夜間、お腹の張りで目が覚める
このような症状はありませんか?
お腹の張りには様々な症状が伴います。以下のような症状がある方は、ご相談ください。

- 下腹部がぽっこり出ている
- お腹がパンパンに張る
- お腹が膨れているように感じる
- お腹がむくんでいる感覚がある
- 下腹部が痛む
- お腹が張っている
- 胃が張る感じがする
- すぐに満腹になる
お腹が張る原因
ガスが溜まっている
腸内にガスが溜まることでお腹が張ってきます。過敏性腸症候群、更年期障害、精神的なストレスが原因となることがあります。また、無意識に空気を飲み込んでしまう呑気症や、腸閉塞、腸炎などの病気でもガスが溜まりやすくなります。
なお、豆類(ひよこ豆、レンズ豆など)、イモ類(サツマイモ、じゃがいもなど)、野菜(ごぼう、ブロッコリーなど)、きのこ類などの食品を過剰に摂取することで、ガスが溜まりやすくなります。これらの食品に含まれる不溶性食物繊維の摂取過多には注意が必要です。
便秘
腸内に硬い便が長時間留まることで、お腹の張りが起こります。女性に多く、加齢とともに増加する傾向があります。急な便秘はストレスや環境変化が原因のことが多く、慢性的な場合は糖尿病、甲状腺機能低下症、うつ病、神経性食欲不振症、各種薬剤の副作用などが原因として考えられます。
妊娠
妊娠初期は胃腸の動きが弱くなり、お腹が張りやすくなります。また、妊娠に伴う便秘も腹部膨満の原因となります。なお、生理前にもお腹の張りを感じることがあります。
がん(悪性腫瘍)
様々ながんが腹部膨満の原因となることがあります。消化器系では胃がん、大腸がん、膵がん、泌尿器系では腎臓がん、婦人科系では卵巣がん、子宮体がん、その他に乳がんや血液のがんなどがあります。がんにより腸の動きが悪くなったり、腹水が生じたりすることで、お腹の張りを引き起こします。
お腹に水が溜まっている
お腹の中に水が溜まった状態です。少量なら問題ありませんが、多量の場合は何らかの病気が隠れている可能性があります。主な原因として、肝硬変、各種がん、心不全、ネフローゼ症候群、腹膜炎などが考えられま
お腹が張る病気
多くのお腹の張りは生活習慣の改善で治まりますが、長期間続く場合は何らかの病気が隠れている可能性があります。以下に主な病気を紹介します。
呑気症
無意識に大量の空気を飲み込んでしまう病気です。早食いや緊張による唾を飲み込む癖のある方に多く見られます。消化管で空気が十分に吸収されず、げっぷやおならが増える傾向があります。
逆流性食道炎
胃の内容物が食道に逆流し、胃酸により食道粘膜に炎症が起きる病気です。心窩部痛、胸やけ、すっぱいげっぷなどの症状に加え、膨満感を伴うこともあります。放置すると食道がんのリスクが高まる可能性があります。
急性胃腸炎
胃腸の粘膜に急激な炎症が起きる病気です。胃痛、腹痛、下痢、吐き気、嘔吐といった主な症状のほか、発熱、食欲不振、腹部膨満感なども現れます。主にウイルスや細菌感染が原因ですが、薬の副作用でも起こることがあります。
機能性ディスペプシア
みぞおちの痛み、胃もたれ、吐き気、膨満感、早期満腹感などの症状があるものの、検査では異常が見つからない状態を指します。ストレスや過労、ピロリ菌感染などが原因と考えられています。
腸閉塞
腸の一部が詰まり、消化物や便、ガスが通過できなくなった状態です。手術後の癒着や腫瘍などが原因で起こります。激しい腹痛、強い膨満感、嘔吐などの症状があり、重篤な合併症を引き起こす可能性もあります。
腹部の腫瘍
胃がん、大腸がん、膵臓がんなどが進行すると、腹部膨満感が現れることがあります。女性の場合は子宮筋腫や卵巣腫瘍でも同様の症状が出ることがあります。定期的な検査による早期発見が重要です。
上腸間膜動脈症候群
急激な痩せにより、十二指腸と動脈の間のクッションとなる脂肪が減少することで起こる病気です。腹痛、食後の胃もたれ、腹部膨満感などが現れ、特に仰向けで症状が強くなり、うつ伏せで改善する特徴があります。
ストレスでお腹が張る病気とは
日常生活でストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れ、胃腸に影響を及ぼすことがあります。その結果、胃腸の動きが低下し、ガスが溜まりやすくなったり、消化不良が起こる場合があります。代表的な病気として、「過敏性腸症候群」や「機能性ディスペプシア」が挙げられます。
過敏性腸症候群ではお腹の張り、腹痛、便秘や下痢などが繰り返し現れる一方、機能性ディスペプシアは胃の不快感や膨満感、食後のもたれ感、胃痛などの症状が特徴です。これらはいずれも、内視鏡などの検査で明らかな異常が見つからない場合に診断される機能性疾患です。
ストレスによるお腹の張りや不快感を軽減するには、ストレス管理や生活習慣の見直しが重要です。医師の診察を受け、必要に応じて薬物療法や食事療法を組み合わせることで、症状の改善が期待できます。
お腹が張る時の検査
問診では、症状の内容や経過、食習慣・生活習慣、服用中のお薬などについて詳しくおうかがいします。
その上で、必要に応じて各種検査を実施いたします。血液検査や腹部超音波検査を行い、胃カメラ検査も行うことがあります。胃カメラ検査の際は、必要に応じてピロリ菌検査や病理検査も同時に実施いたします。
お腹が張る時の治療
治療方法は原因となる病気によって異なります。
疾患が見つかった場合
それぞれの病気に応じた適切な治療を行います。
疾患が見つからない場合
以下の治療を組み合わせて行います。
薬物療法
症状に応じて、胃の働きを改善する薬以下のお薬を使用します。
- 胃の働きを改善する薬
- 消化を助ける薬
生活習慣の改善
以下の点に注意して生活習慣を見直します。
- 暴飲暴食を避ける
- 消化の良い食事を心がける
- 十分な睡眠をとる
- 規則正しい生活を送る
- ストレス管理を行う
お腹の張りの予防法
バランスの良い食事
消化に優しい食事を心がけ、野菜や食物繊維を適度に摂取しましょう。炭酸飲料やガスを発生させやすい食品(豆類、キャベツ、炭酸飲料など)の過剰摂取は控えることがおすすめです。
食べ方を見直す
早食いや過剰な食事は胃腸に負担をかけます。ゆっくり噛んで食事をすることで、消化を助けることができます。
規則正しい生活リズム
十分な睡眠と適度な運動を取り入れ、腸内環境を整えましょう。ストレスをためない生活を意識することも大切です。
ストレスの軽減
心身のリラックスを図るため、趣味やリラクゼーション法(ヨガ、瞑想など)を日常生活に取り入れることが効果的です。
お腹が張る時の対処法
すでにお腹が張ってしまった場合には、次のような対処法を試してみましょう。
軽い運動をする
ウォーキングやストレッチなどの軽い運動は、腸の動きを促進し、ガスの排出を助けます。
お腹を温める
お腹を温めることで、胃腸の血行が良くなり、症状の緩和が期待できます。温かいタオルや腹巻を使用すると効果的です。
お茶やハーブティーを飲む
消化を助けるペパーミントティーやカモミールティーを飲むと、胃腸が落ち着くことがあります。
ガスを出しやすい姿勢をとる
横向きで膝を軽く曲げて寝たり、うつ伏せになったりすることでガスが排出しやすくなります。
専門医に相談する
生活改善やセルフケアでも症状が改善しない場合は、早めに医師の診察を受けましょう。必要に応じて、薬物療法や検査が行われます。