便の色がいつもと違う
便は体調や健康状態を知る重要なバロメーターの一つです。健康な便は一般的に、黄褐色でバナナ状または半練り状をしており、スムーズに排出されます。
便が柔らかすぎたり(下痢)、硬すぎたり(便秘)、また通常と異なる色を示す場合は、消化管などに何らかの異常が起きている可能性があります。
健康的な便の色は?
健康な便の色は黄褐色(黄土色~薄い茶色)です。食事の影響で一時的に色が変化することはありますが、黄褐色以外の色が長期間続く場合は、病気のサインかもしれません。
健康的な便の特徴
- 表面が滑らかである
- バナナ状または半練り状の形状
- バナナ程度の太さ
- 3分以内にスムーズな排便
- 1日にバナナ2本分程度の量
- 排便後の残便感がない
- 臭いは強すぎない
これらの状態を確認するため、できるだけ毎日便をチェックすることをおすすめします。
便の色の種類と健康状態
便の色は食事内容や体調、病気などによって様々に変化します。それぞれの色から推測される原因をご説明します。
黄褐色
黄土色~薄い茶色の範囲の色で、最も健康的な便の色です。ただし、色が正常でも、便秘や下痢、便が細い、血液が付着しているなどの症状がある場合は注意が必要です。
黄色
激しい下痢の際によく見られる色です。主な原因として乳製品の過剰摂取や下剤の使用などが考えられます。症状が長引く場合は、胃腸の病気の可能性もあるため、医師に相談することをおすすめします。
茶~茶褐色
過食や過度な飲酒など、食生活の乱れにより起こりやすい色です。このような場合は、食事量の調整や節酒を行うことで、比較的早く改善することが多いです。
濃褐色
肉類やチョコレート、ココアなどの過剰摂取により見られる色です。また、便秘の際に水分量が減少することでも、便が濃褐色になることがあります。
緑色
緑黄色野菜の過剰摂取により起こることが多い色です。また、急性腸炎や消化機能の低下などの病気が原因となることもあります。母乳を飲む赤ちゃんの便が緑色になることも一般的に見られます。
血便の色
血便は主に、鮮やかな赤色または黒っぽい色をしています。出血の量や場所によって色が異なります。
鮮やかな赤色の血便は、主に直腸や肛門周辺からの出血によるもので、新鮮な血液が便に混じった状態です。出血部位が肛門に近いため、血液の色が変化せずに排出されます。
一方、黒っぽい血便(メレナ)は、主に胃や小腸などの上部消化管からの出血によるものです。血液が消化液と反応して酸化されることで、便が黒く変色します。
便の色に影響を及ぼす食材
緑色の便
緑野菜や葉物野菜に含まれる葉緑素や塩基性成分により、便が緑色になることがあります。
赤色の便
ビーツ(赤大根)、クランベリー、人参などの赤い食品に含まれる色素により、便が赤くなることがあります。
オレンジ色の便
ビタミン剤の服用や、カボチャ、人参などカロテノイドを多く含む食品の摂取により、便がオレンジ色になることがあります。
黄色や白色の便
油脂や脂肪の過剰摂取、ビタミン剤や食品添加物による着色料の影響で黄色くなることがあります。また、乳製品の大量摂取により白っぽくなることもあります。
受診すべき便の色
特に注意が必要な便の色は以下の3つです。これらの便が一度でも見られた場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
黒色便(タール便)
上部消化管からの出血により便が黒くなった状態です。出血は最初は鮮赤色ですが、消化管を通過する間に黒色に変化します。このような便が見られる場合、以下のような病気が考えられます。
- 逆流性食道炎
- 食道がん
- 胃・十二指腸潰瘍
- 胃・十二指腸がん
赤色便(鮮血便)
肛門や大腸からの出血により便が赤くなった状態です。出血部位が肛門に近いため、血液の色があまり変化せず、比較的明るい赤色を保ったまま排出されます。主な原因となる病気には以下があります。
- 痔(切れ痔・いぼ痔)
- 大腸がん
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
- 虚血性大腸炎
- 大腸憩室炎
白色便(白色~レモン色)
通常、便は胆汁に含まれるビリルビンにより黄褐色になります。白色~レモン色の便は、肝臓や胆管の異常により胆汁が適切に分泌されていない可能性があります。考えられる病気として以下があります。
- 肝炎
- 胆石症
- 胆のうがん
- 胆管がん
- ロタウイルス性胃腸炎