消化器がんについて
消化管(口から肛門まで)は、食べ物の消化・吸収・排泄を行う重要な臓器です。消化器がんは、この消化管の粘膜からがんが発生する病気です。がん細胞は周囲に広がったり(浸潤)、他の臓器に飛び火したり(転移)して体を衰弱させます。
主な消化器がんには、食道がん、胃がん、大腸がんがあります。これらを合わせると、がんによる死亡の約1/3を占めます。しかし、早期発見・早期治療により、治る可能性が高くなります。
食道がん
食道がんは、主に飲酒と喫煙が原因で発生します。ほとんどは食道本来の粘膜から発生する「扁平上皮がん」ですが、逆流性食道炎などが原因の「腺がん」もあります。
食道がんの症状
初期の食道がんでは自覚症状がほとんどありません。そのため、健康診断などの胃カメラ検査で発見されることが多いです。
ある程度進行すると、以下のような症状が現れます。
- 食べ物が喉につかえる感じ
- 喉の痛みや違和感
- 胸のしみる感じ
- 咳や声のかすれ
- 体重減少
食道がんの原因
主な原因は喫煙と飲酒です。特に、お酒を飲むと顔が赤くなる体質の方は、リスクが高くなります。また、逆流性食道炎や肥満もリスク要因となります。
食道がんの検査
主に胃カメラ検査で診断します。必要に応じて組織検査も行います。浸潤や転移の有無は、CT、PET検査などで確認します。胃カメラ検査は、鼻からの挿入や鎮静剤の使用により、楽に受けることができます。
食道がんの治療
早期の場合は内視鏡による切除が可能です。進行した場合は、手術、化学療法、放射線治療を組み合わせて治療を行います。
胃がん
胃がんは、胃の粘膜からがん細胞が発生し、徐々に広がっていく病気です。進行すると胃の外側に広がり、さらに近くの臓器や離れた臓器へも転移することがあります。
胃がんの症状
初期の胃がんでは、ほとんど症状が現れません。進行すると以下のような症状が見られることがあります。
消化器の症状
- 胃の痛みや不快感
- 胸やけ
- 吐き気
- 食欲不振
全身の症状
- 体重減少
- 貧血
- 黒い便(出血のサイン)
胃がんの原因
胃がんの最大の原因は、ピロリ菌感染です。ピロリ菌により慢性的な胃炎が続くことで、がんのリスクが高まります。その他のリスク要因として以下があります。
- 塩分の取り過ぎ
- 野菜・果物の摂取不足
- 過度の飲酒
- 喫煙
- 過度のストレス
胃がんの検査
胃カメラ検査が最も重要な検査です。胃の中を直接観察でき、必要に応じて組織検査も行えます。
尼崎市・武庫之荘駅のありもと内科内視鏡クリニックでは、鼻からの挿入や鎮静剤の使用により、負担の少ない検査を行っております。
胃がんの治療
早期の場合は内視鏡による切除が可能です。進行した場合は、手術による切除が必要となり、状況に応じて化学療法(抗がん剤治療)も行います。
大腸がん
大腸がんは、多くの場合、良性の大腸ポリープががん化して発生します。特に直腸やS状結腸に多く見られます。
大腸がんの症状
初期は自覚症状がほとんどありませんが、進行すると以下のような症状が現れます。
排便の異常
- 血便
- 便秘と下痢の繰り返し
- 便が細くなる
全身の症状
- 腹痛
- 体重減少
- 貧血
- 全身のだるさ
大腸がんの原因
主なリスク要因は生活習慣に関係しています。
- 野菜・果物の摂取不足
- 運動不足
- 肥満
- 喫煙
- 過度の飲酒
- 大腸がんの家族歴
特に食生活の欧米化により、日本人の大腸がんは増加傾向にあります。
大腸がんの治療
早期の場合は内視鏡による切除が可能です。進行した場合は手術が必要となり、状況によっては化学療法も併用します。進行の程度や場所によって、最適な治療方法が選択されます。
よくある質問
胃がんの初期症状は何ですか?
初期の胃がんは無症状であることが多いですが、進行すると上腹部の痛み、食欲不振、体重減少、吐き気、嘔吐、黒色便などの症状が現れることがあります。
ピロリ菌と胃がんの関係は?
ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)感染は、慢性胃炎や胃潰瘍の原因となり、長期間の感染が胃がんのリスクを高めるとされています。ピロリ菌の除菌治療により、胃がんの発生リスクを低減できる可能性があります。
胃がんの予防方法はありますか?
胃がん予防には、ピロリ菌感染の有無を検査し、感染している場合は除菌治療を検討することが推奨されます。また、バランスの取れた食事、禁煙、適度な運動などの健康的な生活習慣もリスク低減に寄与します。
食道がんのリスク要因は何ですか?
食道がんの主なリスク要因には、喫煙、過度の飲酒、熱い飲み物の常習、肥満、バレット食道、慢性的な胃酸逆流などがあります。これらの要因を避けることで、リスクを低減できます。
食道がんの生存率はどのくらいですか?
食道がんの生存率は、診断時の病期や患者の全身状態によって異なります。早期に発見された場合、治療効果が高く、生存率も向上します。一方、進行した状態で発見された場合、生存率は低下します。定期的な検診と早期発見が重要です。
大腸がんのリスクを下げる食事や生活習慣は?
大腸がんのリスクを下げるためには、食物繊維を豊富に含む野菜や果物を積極的に摂取し、赤身肉や加工肉の摂取を控えることが推奨されます。また、適度な運動、適正体重の維持、禁煙、適度な飲酒もリスク低減に寄与します。
大腸がんの家族歴がある場合、注意すべきことは?
家族に大腸がんの患者がいる場合、遺伝的要因によりリスクが高まる可能性があります。そのため、通常より若い年齢から定期的な内視鏡検査を受けることが推奨されます。医師と相談し、適切な検査スケジュールを立ててください。
大腸がんの初期症状は何ですか?
初期の大腸がんは無症状であることが多いですが、進行すると便に血が混じる、便秘や下痢の繰り返し、腹痛、体重減少、貧血などの症状が現れることがあります。これらの症状が続く場合は、医療機関を受診してください。
大腸ポリープと大腸がんの関係は?
大腸ポリープの一部は、時間の経過とともにがん化する可能性があります。定期的な大腸内視鏡検査でポリープを早期に発見し、適切に切除することで、大腸がんの予防につながります。