- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍とは
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍の症状
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍の検査
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍の治療方法
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍の食事
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍は何日で治る?
胃潰瘍、十二指腸潰瘍とは
胃や十二指腸の内側には、食べ物を消化するための強い胃酸が存在します。通常は胃粘液によって胃酸から粘膜を守る仕組みが働いていますが、このバランスが崩れると、胃酸により粘膜が障害され、組織が深くえぐられた状態(潰瘍)になります。
このように、胃酸によって自身の組織が傷つけられる病気を消化性潰瘍と言い、発生する場所によって胃潰瘍・十二指腸潰瘍と区別します。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍の症状
胃潰瘍・十二指腸潰瘍では、以下のような症状が現れることがあります。
- みぞおちの痛み(特に空腹時に強くなる)
- 胸やけ
- げっぷが頻繁に出る
- 酸っぱい液体が喉まで上がってくる
- 吐き気がする
- 食欲が落ちる
- 体重が減少する
- 吐血がある
- 便に血が混じる
- 黒い便が出る
胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因
主な原因は「ピロリ菌感染」と「鎮痛剤の使用」です。胃潰瘍の約70%、十二指腸潰瘍の約90%がピロリ菌感染によるものとされています。
特に注意が必要なのは、ピロリ菌に感染している方が鎮痛剤を使用する場合です。ピロリ菌感染だけでも18倍、鎮痛剤使用だけでも19倍潰瘍になりやすくなるとされていますが、両方が重なると実に61倍も潰瘍のリスクが高まるとされています。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍の検査
症状から潰瘍が疑われる場合は、主に以下の検査を行います。
胃カメラ検査
口または鼻から内視鏡を入れ、食道、胃、十二指腸を直接観察する検査です。潰瘍の有無だけでなく、同時にピロリ菌の検査も可能です。当院では消化器内視鏡専門医が検査を担当し、より正確な診断を行います。
検査時の苦痛を軽減するため、必要に応じて鎮静剤を使用することができます。また、口からの検査(経口)と鼻からの検査(経鼻)のどちらかをお選びいただけます。特に経鼻内視鏡は吐き気が少なく、比較的楽に検査を受けていただけます。必要に応じて組織検査も行えるため、最も確実な検査方法となっています。
バリウム検査
バリウムという造影剤を飲んでレントゲン撮影を行い、胃の形や異常を確認する検査です。胃カメラに比べて手軽に受けられますが、ピロリ菌の検査はできないため、確定診断には胃カメラ検査が必要になることがあります。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍の治療方法
治療は、薬物療法を中心に、必要に応じて手術療法を行います。また、原因がピロリ菌の場合は除菌治療も行います。
潰瘍の治療
薬物療法
胃酸の分泌を抑える薬を中心に治療を行います。服用後すぐに痛みは改善しますが、潰瘍が完全に治るまでには、胃潰瘍で約6週間、十二指腸潰瘍で約8週間かかります。その他、胃の粘膜を保護する薬や、胃の働きを改善する薬、漢方薬なども必要に応じて使用します。
手術療法
潰瘍からの出血がある場合は、内視鏡を使って出血部分をクリップで止める処置を行います。また、潰瘍により胃や十二指腸に穴が開いた場合は、緊急で穴を塞ぐ手術が必要です。これらの手術が必要な場合は、基幹病院をご紹介いたします。
生活習慣の見直し
喫煙、過度の飲酒、強いストレス、睡眠不足などは潰瘍を悪化させる要因となります。これらを避け、健康的な生活習慣を心がけましょう。
ピロリ菌の除去
ピロリ菌が原因の場合は除菌治療を行います。胃酸を抑えるお薬1種類と抗生物質2種類を7日間服用します。治療効果は4週間後に判定し、1回目の成功率は約70%です。失敗した場合は2回目の治療を行い、約97%の方が治療に成功します。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍の食事
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の治療には、適切な食事管理が重要です。以下の点に注意して食事をとりましょう。
規則正しい食事
1日3食、決まった時間に食事をとることで、胃の働きを整え、過度な胃酸の分泌を防ぎます。長時間の空腹は胃酸が濃くなり、粘膜を傷つけやすくなります。
適切な食事量と内容
消化のよい食品を選び、腹八分目を心がけましょう。肉は脂肪の少ないものを、魚は新鮮なものを選び、よく煮るなど消化しやすい調理法を心がけます。
刺激物を避ける
以下のような食品は控えめにしましょう。
- 熱すぎる、または冷たすぎる食べ物
- 繊維の多い食品
- 酸味の強いもの
- 香辛料
- アルコール、炭酸飲料、カフェイン
バランスの良い食事
傷んだ粘膜の回復には、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素が必要です。偏りのない食事を心がけましょう。
食べ方の工夫
ゆっくりとよく噛んで食べ、食後は適度な休息をとりましょう。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍は何日で治る?
適切な治療を行えば、胃潰瘍は8週間、十二指腸潰瘍は6週間程度で8割以上の方の症状が改善します。治癒の判断は、症状の消失と内視鏡検査での潰瘍の治り具合(白い瘢痕化)で行います。
ただし、大きな出血がある場合や穴が開いている場合は、手術が必要になることがあります。また、原因に応じた治療(ピロリ菌の除菌など)を行わないと、再発する可能性もあります。